まな板の語源由来2
『まな板』の語源・由来


『まな板』=【真魚板

「まな=さかな」→「まな(真魚)を切るときに下にしく板」が語源。

けんけん

こちらの記事では、次の内容をまとめています。

  • 「まな 」=「 さかな」となる理由
  • 漢字で書くと「真魚板」「俎板」
  • 『まな板』を英語にすると?

気になった方は、ぜひ続きをごらんください。

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『まな板』の語源・由来|「真魚」と「俎」

まな板の語源と由来

けんけん

『まな板』を辞書で調べると次のように書かれています。

【俎板/俎】
《「真魚板」の意》包丁で切る際に下に置く板や台。

出典:小学館/デジタル大辞泉 「まないた」

『まな板』の漢字表記を調べると「真魚板」・「俎板」の2つが出てきます。

『まな板』の語源・由来について、「真魚」と「俎」の2つの文字の意味をもとに確認していきます。

始めに、2つの漢字の意味を簡単に見ていきましょう。

  • 「真魚(真菜)」・・・「さかな」のこと
  • 「俎」・・・中国語で「供物を並べるための台」のこと

「真魚」は「さかな」のことを表し、「俎」は「供物台」の意味として使われている中国語漢字なのです。

ここまでの意味がわかったところで、「真魚」と「俎」についてさらに詳しく見ていきます。

『まな板』の語源・由来|その①「真魚」

まな板の語源と由来②

真魚(まな)・・・「さかな」のこと

「ま」+「な」=「まな」

昔は、魚も野菜も食材は全て「菜(な)」と呼ばれていました。

「菜」は、現在も「小松菜」や「水菜」など葉野菜などに多く使われています。

当時は、全てを「菜」と呼んでいたため、食材のことを言葉で伝えるのがとても不便でした。

そこで、より美味しいという意味を込めた「真」という文字を用い、魚のことを「まな(真菜)」と呼ぶようになりました。(のちに真菜は真魚とも書く。)

それから【まな(魚のこと)を切るために敷く板】のことを『まな板』と呼ぶようになりました

これが、『まな板』の語源・由来とされています。

「まな」=「さかな」+「うお」

当たり前の話ですが、現在では魚のことを「まな」ではなく「さかな」と呼びます。

「まな」という言葉ができた後に、魚のことを「さかな」・「うお」と呼び分ける時代がやってきます。

調理された魚酒菜(さかな)
泳いでいる魚うお

「まな」のことを「調理された魚」と「泳いでいる魚」に呼びわけたわけです。

酒菜(さかな)= 調理された魚

昔から、魚は酒の肴(さかな)として好まれ、「酒菜(さかな)」と書き「のつまみ」を意味していました。

奈良時代から室町時代にかけて「さかな」と呼ばれていたものには、主に「」や「すもも」や「味噌」などがありました。

江戸時代以降、酒の肴に魚肉が多く使われていたため、魚肉のことを「さかな」と呼ぶようになっていったのです。

うお = 泳いでいる魚

調理された魚のことを「さかな」と呼んだのに対し、泳いでいる魚のことを「うお」と呼びました。

「水を得た魚のよう」という言葉がありますが、実はこの「魚」=「うお」と読むのが正解です。

「水を得た魚のよう」は「魚の水を得たるごとし」とも言います。水の中を泳いでいる魚を「うお」と呼んでいたのが慣用句からうかがえます。

正確には「水を得たうおのよう」と読みますが、時代の流れとともに「さかな」と読んでもあまり指摘されないようになってきています。

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『まな板』の語源・由来|その②「俎」

まな板の語源・由来③

けんけん

『まな板』の「まな」は漢字でどのように書くのかを調べると、ほぼ「俎板」が出てきます。

「まな」の語源は「真菜」や「真魚」だったはずなのになぜなのでしょう?

実際に、辞典などで調べても漢字表記は中国語由来の「俎」が当て字としてメインで使われているのが現状です。

なぜ「俎」が使われてきたのでしょうか?漢字を分解してその疑問について考えてみましょう。

「俎」の漢字の成り立ち|「俎」=「肉」+「台」

「俎」という漢字を分解すると、偏(へん)は「肉」・旁(つくり)は「台」を意味していることが分かります。

『まな板』の「まな」が「さかな」に由来しているのに対し、中国の「俎」は肉などの食材を置く台が言葉の成り立ちとなっています。

「俎」は中国語で「お供え物の台」

この当て字として使われた中国語の「俎」は、【お供え物として食材を並べるための台】を指します。

俎・・・中国語で「供物を並べるための台」


中国語で「肉や魚を積み重ねてのせる台」のことを指す言葉です。

台なのに『まな板』なのは違和感がありますが、昔の『まな板』には台のような形をしているものも多く存在していました。

『まな板』がもともと台のような形をしていたことが「俎」が『まな板』の漢字表記として使われ始めた由来だと考えられます。

昔は足がついた『まな板』があった

平安時代あたりまでは『まな板』には足がついているのが一般的でした。

現在のような整ったキッチンはもちろんなかったので、火を使う釜などは土間、食材を切るのは板の間でと作業場所を分けていました。

板の間などですわって食材をカットするため、『まな板』は下駄のように足がついた高さのある形をしていたのです。

古い文献(巻物など)に描かれている絵にも、足つきの『まな板』の前にすわって調理する様子が残されています。

足つきのまな板は、昭和に入りガスコンロのある台所の形になってからは、だんだん不要になりその姿が減っていきました。

『まな板』は英語で「カッティングボード」

海外では、カッティングボードやチョッピングボードという名称がつけられています。

  • カッティングボード【Cutting board】
  • チョッピングボード【Chopping board】

海外での『まな板』の使いかた

日本のように食材を切る時に使うだけではなく、食卓に出すお皿としての意味合いが強い国もあります。

台所で使用するのは、主に東アジアで欧米では定型の『まな板』を使用する文化はもともとありませんでした。

『まな板』を常用使用しているのは、箸の文化をもつ国とほぼ一致しているという話もあります。

東洋と西洋の食文化の違いが『まな板』を使うかどうかにも現れているのですね。

海外で使われている『まな板』の形状

日本の『まな板』は一般的には長方形の形をした横長の木でできた板というイメージですよね。

最近では、木製以外にもプラスチック製や合成ゴム製、まれにステンレスやガラス製のものも見かけたりしますね。

欧米で使われるチョッピングボード【Chopping board】とは、切った食材をそのまま鍋に入れやすいよう取っ手がついています。

中華料理では、たたきつけるようにして食材をカットすることが多いことや包丁が大きいことなどから、厚く輪切りにした丸太型の『まな板』が使われているのも有名です。

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さいごに・・・「まな」をつかった別の言葉

『まな板』の語源・由来から始まった今回のお話ですが、なかなか普段の生活では耳にしない「なるほど」とういう情報が詰まっていましたね。

「まな」=「さかな」ですよ。と最初にお伝えしましたが、同じ意味で「まな」を使っている他の言葉がありますので、最後にそのお話を添えてこちらの記事を締めたいと思います。

【まなはじめ】

「まな」は、赤ちゃんの100日祝いのお食い初めを表す「まなはじめ」という言葉にも使われています。

ここでの「まな」は、魚や肉のことを指しています。

そして、【まなはじめ】を辞書で調べると次のように書かれています。

子供に生後初めて魚肉を食べさせる儀式。古くは3歳、室町時代には生後101日目、江戸時代には120日目に行った。

最後までごらんいただきありがとうございました。

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