二の腕の由来・別名
『二の腕』の別名


上腕(じょうわん)・ 上膊(じょうはく)

『二の腕』の名前の由来


昔は腕を『一の腕』『二の腕』という2つの部位に分けて呼んでいた
その後『一の腕』はほとんど使われなくなり『二の腕』だけが残った

呼び名部位別名
一の腕ひじから手首までの間前腕(ぜんわん)
下膊(かはく)
二の腕肩からひじまでの間上腕(じょうわん)
上膊(じょうはく)

『一の腕』は今でも存在していますが、ほとんど使われず、『二の腕』だけが使われています。

けんけん

こちらの記事では次の情報をまとめています。

  • 『二の腕』の別名
  • 『二の腕』の名前の由来
  • 『一の腕』と『二の腕』はもともと逆だった
  • 【言葉は生き物】時代の流れと共に意味が変化した言葉

気になった方は、是非続きをご覧ください。

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『二の腕』の別名

けんけん

『二の腕』の別名について、記事の最初でも触れましたが改めてご説明します。

呼び名部位別名
一の腕ひじから手首までの間前腕(ぜんわん)
下膊(かはく)
二の腕肩からひじまでの間上腕(じょうわん)
上膊(じょうはく)

二の腕を別の呼び方にすると「上腕」や「上膊(じょうはく)」となります。

「腕」と「膊」は同じ意味の言葉

 「腕」・「膊」 → 肩から手首までの部分。かいな。

『二の腕』は、体の外側のやわらかい部分をさす時によく使いますが、実際は「肩からひじまでの部分」を指しています。

よって、「上腕」や「上膊」とも呼べるわけですね。

『二の腕』の名前の由来

けんけん

もともと腕の部位には『一の腕』『二の腕』という2つの呼び名がありました。

いつしか『一の腕』が使われなくなり、『二の腕』だけが残ったのです。

『二の腕』について書かれた最古の文書

『二の腕』の名前の由来は、『二の腕』について書かれた日本最古の文書「日葡(にっぽ)辞書」にあります。

そこには、私たちが知っている『二の腕』とは違う情報が書かれていたのです。

現在の私たちの認識と「日葡辞書」に書かれていた内容を並べて比較してみましょう。

部位現在の認識日葡辞書では
ひじから手首までの間(前腕)二の腕
肩からひじまでの間(上腕)二の腕一の腕

実は、1603年に発刊された「日葡辞書」では「ひじから手首まで」が『二の腕』と書かれていたのです。

その後、どのような流れで今の呼び方になっていったのか気になりますよね。

『一の腕』と『二の腕』の呼び名が逆転した

その後、次のような流れで現在の『二の腕』の使われ方になったとされています。

  1.  最初は「ひじから手首まで」が『二の腕』だった
  2.  ある時『一の腕』と『二の腕』の呼び方が逆転した
  3.  その後『一の腕』という表現は使わなくなった
  4.  そして『二の腕』だけが現在使われている意味で残った

要するに、言葉の意味が途中で入れ替わり、定着してそのまま残ったということです。

【言葉は生き物】時代とともに変化する言葉の意味

けんけん

『二の腕』がもともと『一の腕』の部位を指していたように、言葉の意味が時代の流れとともに変化することがあります。

  • 「読みかたはそのまま」で「意味を変えて」使われている
  • 「意味はそのまま」で「読みかたを変えて」定着している

    最初につけられた言葉が、後になって意味や呼び名を変えて使われるケースは『二の腕』に限るものではありません。

    【言葉は生き物】時代の流れと共に言葉は変化する

    けんけん

    【言葉は生き物】というフレーズを耳にしたことはありますか?

    言葉の解釈がそのまま定着することもあれば、いずれ使われなくなったり、変化したりする事がある。

    そんな過程の中で言葉そのものが絶えず呼吸し、まるで生きているように例えて『生き物』と表現されます。

    私たちが普段使っている辞書の中にも、言葉の説明として慣用読みや『〇〇の意味でも使われる』などと記載されています。

    そのことからも、現代の辞書自体が言葉の変化に寛容さを持っていることがわかります。

    どくどく

    誰かが間違えて使ったのが言葉の変化の始まりだったとしても

    それがいつしか多数派になれば

    その言葉が正しい答えになることもあるのです。

    時代と共に変化していった言葉たち

    今回とりあげた『二の腕』以外にも、もともと使われていた意味と現在使われている意味が異なる言葉はたくさん存在します。

    参考程度ですが、いくつかご紹介させていただきます。

    言葉(名称)当初使われていた意味現在使われている意味
    やぶ医者とても優秀な医者
    (養父医者)
    下手な医者
    (藪医者)
    はしゃぐ
    (燥ぐ)
    乾燥するうかれ騒ぐ
    支度はかる・見積もる準備
    二の腕ひじから手首までの間肩からひじまでの間

    普段私たちが当たり前のように使用している言葉でも、途中でその意味を変えているものがたくさんあります。

    ここで取り上げたものはそんな言葉たちのうちのほんのひと握りです。

    興味があるかたは、ぜひ他の言葉も探してみて下さい。

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    『二の腕』に関する豆知識と「日葡辞書」について

    けんけん

    『二の腕』の名称の由来は、『二の腕』について書かれた日本最古の文書『日葡辞書』にありました。

    • 昔は腕をふたつの部位『一の腕』と『二の腕』に分けて呼んでいた
    • 『一の腕』という言葉がいつしか消え『二の腕』という表現だけが残った。 

    これが最初にご案内した『二の腕』の名前の由来でした。

    最後に次の2つをご案内して、今回のお話を締めていきたいと思います。

    • 『二の腕』を英語にすると
    • 由来の根拠になった「日葡辞書」の情報

    『二の腕』を英語にすると

    『二の腕』(上腕)を英語にすると「upper arm」分解すると「upper(上)」+「arm(腕)」。

    『二の腕』の別名の話でも触れましたが、まさに上腕をそのまま英語にした形になりますね。

    ちなみに、ひじから手首を指す『一の腕』(前腕)は「lower arm」となります。

    『二の腕』の由来の根拠 「日葡辞書」とは?

    今回の『二の腕』の名称の由来を紐解く情報源となった日葡辞書についてご紹介します。

    1603年~1604年にかけて長崎で発行された日本語=ポルトガル語辞典『日葡辞書が日本最古の『二の腕』に関する記述を含む書籍と言われています。

    『日葡辞書』は、キリシタン版の一種で、日本語をポルトガル語で解説した辞典である。イエズス会によって、1603年から1604年にかけて長崎で発行された。ローマ字表記の日本語見出しに対する語釈部分は全てポルトガル語で記述され、約32,000語を収録している

    出展:ウィキペディア

    ・1603年は、徳川家康が征夷大将軍に任命された年
    ・鉄砲やキリスト教などヨーロッパから新しいものや文化が日本に入り始めた時代

    ・ポルトガル語で書かれているのはこうした時代背景から
    ・キリスト教布教のために作られたとも言われている

    戦国時代の日本ではどのような言葉が使われ、どのような文化が根付いていたのか、それを知るヒントが隠れた貴重な文書です。
    キリスト教そのものが禁止されてしまい、現存数は少なく(世界で確認されているのはたったの4冊)、当時を知るための貴重な資料となっています。

    けんけん

    最後までご覧いただきありがとうございました。

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