名字と苗字の違い

文章中で【みょうじ】と漢字で書きたい場合は、迷わず『名字』と書きましょう

『名字』と『苗字』の2つのうち、どちらを使ったらよいか分からない。
そんな時は、名前の「名」が入った『名字』を使うべきです。

その理由は、現代では『名字』が常用漢字として使われているからです。

けんけん

ここからは
■常用漢字を使うべき理由
■なぜ同じ読みの『名字』と『苗字』が存在するのか
■『名字』に関する豆知識
などをご紹介していきます。是非続きもご覧ください

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常用漢字を使用するべき理由

けんけん

最初にご案内した通り、どの漢字を使用したらよいか困ったときは常用漢字を使うべきです!
早速、その理由を見ていきましょう。

常用漢字(じょうようかんじ)は、「法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」として、内閣告示「常用漢字表」で示された現代日本における日本語の漢字である。

出典:Wikipedia [常用漢字]

常用漢字はあくまで漢字使用の目安であり、規制や制限をするものではありませんが、上記の通り内閣が示す「常用漢字表」というものが存在します。

現代日本における漢字利用では常用漢字を選んで使用するのが好ましいというのが常用漢字を使用すべき一般的な理由です。

自分で文章を書いていて、漢字の選択で迷った時には常用漢字を使用してください。

内閣が原則として常用漢字を使うべきとしていることは、「日本の義務教育国語で習う漢字は常用漢字のみ」と学習指導要領で規定していることからも分かります。

また、報道機関などでは日本新聞協会が発行する『新聞用語集』(新聞用語懇談会編)に掲載される新聞常用漢字表というものが存在し、それに基づいて漢字使用の基準を定めている場合が多いようです。

常用漢字の対義語は表外漢字(非常用漢字と表現されることもあり)といい、『苗字』は現代においては表外漢字の扱いになります。

常用漢字名字
表外漢字(非常用漢字)苗字

『名字』と『苗字』の違い

けんけん

今回取り上げた『名字』と『苗字』という2つの言葉の違いについて見ていきましょう。

どちらもみょうじ】と読みますが、なぜ同じ意味を持つ2つの言葉が存在しているのか?

この2つの言葉の違いは、「言葉の由来」や「使われ始めた時代」が異なる点です。

 由来使われ始めた時代
名字地域や所有地に由来平安時代
苗字血族や血統に由来江戸時代

平安時代に『名字』という呼び方が生まれ、江戸時代になると『苗字』が新たに使われるようになりました。

「言葉の由来」も歴史の流れと共に変化してきたのです。

『名字』と『苗字』の由来には、それぞれが使われはじめた時代背景が関係しているのですね。

『名字』と『苗字』の由来

『名字』と『苗字』、同じ読み・同じ意味の言葉が2つできた背景には、平安時代に生まれた『名字』を江戸時代に使えなくなった人々がいたこと、その代わりに生まれた『苗字』という呼び名が『名字』と並行して使われてきたことがあげられます。

それぞれの言葉が生まれた由来を見ていきましょう。

『名字』の由来 【平安時代〜】

『名字』は平安時代に使われ始めました。

主にその人が住んでいる土地に関連して自らを名乗る正式な呼称(呼び名)のことを指します。

武士が自分の支配下地域を「田(みょうでん)」と呼び、私有化する時にその地域の「(あざな)」を作るようになったのが『名字』の由来と言われています。もともとは『名字』とかいて「なあざな」と呼ばれていました。

江戸時代になると、一般庶民は公の場で『名字』の使用を禁じられてしまい、そこから『苗字』という言葉が生まれました。

その後、明治時代になると、改めて一般市民による『名字』の使用を認める日がやってくるのですが、そのお話は次の『苗字』の由来でご説明します。

『苗字』の由来 【江戸時代〜】

『苗字』は、江戸時代に使用を禁止された『名字』に変わる形で生まれ、一般市民を中心に使われ始めました。

当時、遠い子孫を意味する「」と末裔(まつえい)の裔を使った「苗裔(みょうえい)」という言葉があり、それが『苗字』の「」の由来となりました。

要するに『名字』の「名」を「苗」に差し替えた言葉ということです。

『苗字』の意味は「共通の祖先から分かれた子孫たちが共有して使用していく名前」ということになります。

2月13日は【名字の日】

明治3年に、大蔵省主導で戸籍制度が始まり、一般市民への『名字』使用を原則禁じる政策が終わりを迎えます。

明治3年9月19日の「平民苗字許可令」、明治8年2月13日の「平民苗字必称義務例」により、国民はみな公的に名字を持つことになりました。

この日にちなんで、2月13日は「名字の日」となっています。

この時『苗字』の表記が主に使わたことから、その表現が正式なものだという認識が広まっていきました。

明治時代以後(戦後あたり)から『名字』が主に使われるようになり、現在の常用漢字のベースとなりました。

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『名字』に関する豆知識

日本人の名字の総数は約30万種類。
[読み方の違い(※1)]や[漢字の字体の違い(※2)]などを同一とみなすと、その数は割と減って、約1万5千種類になります。

総数300,000種類
読みと字体違い考慮15,000種類

※1 同じ字でも読み方が違う
→(例)【山崎】を「やまさき」「やまざき」と読む

※2 同じ漢字だけど字体が違う
→(例)「さいとう」を【斉藤】【齋藤】と書く

『名字』ランキングとそれぞれの由来

読み方の違いや字体の違いを考慮した上で、日本に多い『名字』ランキングをそれぞれの由来も添えてご紹介します。

特に、由来は「なるほど」という要素が多いと思いますので是非ご覧ください

順位名字由来
1佐藤藤原氏の子孫が名乗ったのが始まり。佐藤の「藤」は藤原氏からとったもの。東日本に多い。
2鈴木紀伊国(現在の和歌山県全域と三重県南部)で熊野信仰を司る一族が名のり、全国に広まったといわれている。
3高橋天皇家の料理を担当していた古代の皇族が始まり。高い橋や高い柱などの地形から発生したともいわれ、ルーツは全国に広がる。
4田中水田の中に家を構えたのが「田中さん」。地形が由来だが、昔の有力豪族である蘇我氏、源氏、平氏などをルーツにもつ場合もあり。
5伊藤藤原氏の子孫が伊勢に住み「伊勢の藤原」を意味する「伊藤」を名乗ったのが始まり。
6渡辺現在の大阪府北部と兵庫県の一部が昔「渡辺」と呼ばれた地域で、渡辺姓はこの1か所から全国に広がった。
7山本山のふもとに住んでいたのが「山本さん」。清和天皇の子孫など、公家から庶民までルーツは多数。
8中村地域の中心となる村を「中村」と言ったことから、その地に住んでいた人が「中村」を名乗った。

※参考図書:子どもと楽しむ日本おもしろ雑学500(西東社)

それぞれの由来を見ていくと、ここまで触れてきた「地域や所有地に由来」や「血族や血統に由来」の要素が入っていてとても興味深いですね。

『名字』の総数と割合から知る豆知識

●『名字』の総数(読みと漢字の字体違いを考慮した)15,000のうち、上位5,000で日本の名字全体の約92%をカバー(上位100では37%)
● ランキング上位の「佐藤」と「鈴木」はそれぞれ2,000,000世帯ずつある

数ある名字の中で、上位5,000が92%を占めているのは驚きです。上位2件は圧倒的に多いですね。

これらの情報を知っていると「なるほど」と納得できる豆知識をひとつご紹介します。

ハンコ屋にある印鑑のラインナップは上位5,000『名字』分?

ハンコ屋さんで、ご自身の『名字』が刻まれた印鑑を探したことがありませんか?
ご自身の印鑑が見つかる人となかなか在庫では見つからないで注文になる人に分かれますよね。

「自分の名字は珍しいからなかなかお店に無いんだよね!」という方も結構いらっしゃるはず。

印鑑を商品として扱うハンコ屋さんは、常時5,000種類の印鑑を常備しているという話。
その理由は簡単で、5,000種類の印鑑で世の中の92%のお客様をカバーできるからです。

売り場の広さや抱えられる商品の在庫にはには限りがありますし、この話を知っていれば納得できますね。

ハンコ屋で印鑑が直ぐに見つけられるあなたの『名字』は、上位5,000に入っている可能性が高いかもしれませんよ。

歴史と共に変化していく言葉

世の中には、時代の流れと共に変化していく言葉がたくさん存在しますね。

今回取り上げた『名字』と『苗字』のように、漢字の表記そのものが変わっていく言葉もあれば、同じ表現のまま意味だけが変わってしまう言葉もあります。

【言葉は生き物のようで、とても面白い】こんな感想を持っていただける題材を今後も発信できたらと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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